「教会だより」の巻頭言 10月号

 


秋の夜長に

カトリック唐津教会 主任司祭 江夏國彦

秋も深まり、昔親しかった亡き人々が偲ばれることがあるのではないでしょうか。私も栃木県の信徒、伊澤幸一氏のことを思い出します。亡くなる15年前に自分が病気であるという自覚症状が契機となり、内緒でポストカプセル郵便に妻宛の手紙を投函しました。それは死の準備のひとつでした。 

ポストカプセル郵便とは、1985年の科学万博で人気を博した郵政省の企画で、15年後の20世紀の最終年の大晦日まで手紙を保管してから配達しますというものでした。彼は自分の命はあと2年と思っていたのに、なんとその後14年も生きることができたのです。その手紙が配達される約一年前に天国へ召され、葬儀は私が司式しました。

 亡くなって約一年、奥様はまだ悲しみと寂しさの中で喪に服していた2001年の元旦にご主人からの手紙が届いたのです。教会報に奥様が寄稿されました。許可を得て文章を紹介します。

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神に賛美!

  マコ! 達者か?   1985914日の朝、出勤前、俺は、胃部に異物感を感じ、2年後にはお召しが来るのではないか?と予感し乍らこれを書いています。もし、君が無事にこの手紙を受け取った時、傍に俺が居たらそれこそ奇跡だ。その時は大きな声で「神に感謝!」と共に叫ぼう。しかし、その時もし俺が居なかったとしても、その時は俺が神の測り知れないあわれみに由って苦しみをしのぎ、償いを果して御手に受け取られたことを思って神に感謝して下さい。人生の途上何かの誘惑に遇ったら次の祈りを誦えて下さい。

“正しさを守って下さる神よ、私をあわれみ、助けて下さい。あなたの掟の中に、私を 歩ませて下さい”と。

この祈りに由って私は危い処を助けられたのです。他人を嫌わず、皆兄弟姉妹と思って受け容れて下さい。自分の望みではなく、神の御旨を実行して下さい。

 幸いこの手紙を俺も又、肉眼で見ることができた時には、共に神に感謝し、手を携え、余生を神の御旨の中に生きましょう。

 

愛妻 京子へ      幸一より。

1985914日、8.45AM

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 この手紙を受けて奥様は、その時の心境を文章にしてくれました。

「思いがけない手紙に心ときめかせ、読み、そして思いきり泣きました・・・。

 人類発生から受け継がれてきた命。20世紀に出会い、愛し合い、主キリストと共に歩んだ時間は、とても不思議なことに感じています。(以下省略)」と続く文章は、夫婦愛、出会いの神秘、永遠の命への希望、恵み深い神の計らいを感じさせるものでした。

彼はSL好きだったので、銀河鉄道になぞらえて、満天の星の彼方へ先に旅経たれた自分は「只今 別居中!」と書いてあった。

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