正義と平和は口づけする
カトリック唐津教会 主任司祭 江夏國彦
毎日暑い日がつずいています。体調管理を怠らないようにしましょう。
前教皇フランシスコが日本を訪問してくださってから、7年がたちました。この時期になると、あの日のことが懐かしく思い出されます。というのも、教皇が写真入りのカードを全世界の教会に配布されたからです。
その写真は,8月9日長崎に原爆が投下された約2ヶ月後,浦上川の河川敷で、アメリカ軍の従軍カメラマンであったジョー・オダネル氏が撮影したもので、氏は次のように語っています。
重大な目的を持ってこの焼き場にやってきたという,強い意志が感じられました。しかも裸足です。少年は,焼き場のふちまで来ると,硬い表情で,目を凝らして立ち尽くしました。背中の赤ん坊は,ぐっすり眠っているのか,首を後ろにのけぞらせたままです。
少年は焼き場のふちに,5分か10分立っていたでしょうか。白いマスクの男達がおもむろに近づき,ゆっくりとおんぶひもを解き始めました。この時私は,背中の幼子が既に死んでいることに初めて気付いたのです。男達は,幼子の手と足を持つと,ゆっくりと葬るように,焼き場の熱い灰の上に横たえました。まず幼い肉体が火に溶ける,ジューという音がしました。それから,まばゆい程の炎が,さっと舞い立ちました。真っ赤な夕日のような炎は,直立不動の少年のまだあどけない頬を赤く照らしました。その時です。炎を食い入るように見つめる少年の唇に,血がにじんでいるのに気が付いたのは。少年があまりにもきつく噛み締めていたため,唇の血は流れることもなく,ただ少年の下唇に赤くにじんでいました。夕日のような炎が静まると,少年はくるりときびすを返し,沈黙のまま,焼き場を去っていきました。」
これは、被爆した長崎の聖マリア像の姿と共に、平和を願う人の心に迫ってくるものがあります。写真の少年が重大な決意をもって浦上川の河川敷に向かったように、前教皇も核兵器廃絶と真の平和を世界に訴える強い決意を持って日本へ来られたのでしょう。核兵器廃絶と同時に命の尊さ、そして弱い立場の人々に寄り添うことの大切さを訴えられました。
新共同訳聖書 詩編85:11に、
「慈しみとまことは出会い、正義と平和は口づけする」
と書かれています。何と印象深く、真の平和の姿を表したみことばでしょう。この詩編に込められた意味は、神の愛(慈しみ)は神の誠実(まこと)と結びつき(出会い)、神の正しさ(正義)は、神が与える真の平和をもたらす。神の救いの中では、愛も正義も平和も決して対立せず、美しく調和しているということです。
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